放射光(X線)で小さなものを観察する大きな2つの施設

単一チップ上に集積化されたX線エネルギー検出センサー
―放射光計測から分析・検査まで性能向上に貢献―


2026年3月16日
理化学研究所
高輝度光科学研究センター
株式会社ディーアンドエス
株式会社エイアールテック
株式会社MIST


理化学研究所(理研)放射光科学研究センター制御情報・データ創出基盤グループの初井宇記グループディレクターら、高輝度光科学研究センター、株式会社ディーアンドエス、株式会社エイアールテック、株式会社MISTの共同研究グループは、電荷増幅アンプとシリコン・ドリフト検出器(SDD)※1を単一チップ上に集積(モノリシック集積)する技術を世界で初めて実現しました。さらに本技術を基盤として、30素子を集積したセンサー「mxdCMOS」を開発しました。本センサーは、多素子SDDとしては世界最高となる単位面積当たり計数率(カウントレート)※277Mphotons/s/cm²※2を達成しています。

大型放射光施設「SPring-8」※3では、SDDを使用してナノメートル(10億分の1メートル)レベルで元素やその化学状態の分布を可視化できます。今回開発したmxdCMOSは、SDDの性能を大幅に向上させることで、マッピングの高精細化や、より微量な元素・化学状態の検出を可能にするなど、測定精度の向上に貢献すると考えられます。

また、SDDは放射光施設に限らず、X線・電子線分析装置や半導体・電池製造工程における検査装置など、幅広い分野で利用されています。本技術により、これらの用途においても計測効率および測定精度の向上が期待されます。

本研究は、放射線計測分野における国際学術誌『 IEEE Transactions on Nuclear Science 』オンライン版(2月24日付)に掲載されました。


高密度モノリシックX線エネルギー検出センサー「mxdCMOS」

論文情報
雑誌名:IEEE Transactions on Nuclear Science
タイトル:Development of Monolithic Multi-Element Silicon Drift Detectors
著者:Togo Kudo, Ikuo Kurachi, Takafumi Ohmoto, Toshifumi Imamura, Tomoaki Maeda, Toshiaki Tosue, Yuji Matsuda, Kazuo Kobayashi, and Takaki Hatsui
DOI:10.1109/TNS.2026.3667475


背景

SPring-8などの大型放射光施設における計測では、X線の光子エネルギーを識別できるシリコン・ドリフト検出器(SDD)が重要な役割を担っています。SPring-8からのX線を試料に照射すると、試料から試料内の元素の種類やその結合状態に対応した光子エネルギーのX線(蛍光X線)が放出されます。この試料から放出される蛍光X線の各エネルギー成分の強度(光子数)をSDDで測定することで、元素分布や化学組成をナノメートルレベルで解析することが可能です。


近年、放射光源および光学系の高度化に伴い、試料に照射されるX線の強度は大幅に増加しています。その結果、より高い計数率のSDDが求められています。


そこで、複数のSDDを高密度に配置することにより計数率の向上を図る研究が進められてきました。しかし、SDDと外部に設置される電荷増幅アンプを接続する配線が制約となり、小型のSDDを高密度に配置することが困難でした。


研究手法と成果

共同研究グループは、半導体チップ内に回路層とセンサーを一体形成できるSOI(Silicon-On-Insulator)センサー技術に着目しました。本SOIセンサー製造技術は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)とラピスセミコンダクタ株式会社が共同開発し、その後、理研も参画してX線用途向けに改良を重ねてきたものです。本研究では、このSOIセンサー技術をさらに発展させ、これまで実現が困難であったSDDと電荷増幅アンプを単一チップ上に統合する技術を実現しました。これにより、SDDと電荷増幅アンプを外部配線で接続する必要がなくなり、SDDの高密度集積が可能となりました。


本研究では、1.8mm四方の小型SDDを30素子配置したセンサー「mxdCMOS」を設計・製造しました。本センサーでは、各SDDの中央部に微小な電荷増幅アンプを配置し、その出力を周辺回路でさらに増幅して出力パッドへ伝送する構成としています。これらの機能はすべて単一チップ内に集積されています(図1)。



図1  mxdCMOS センサー
(左)mxdCMOS センサーの配置概要図。各 SDD の中央部に配置された電荷増幅アンプは微小であり、本図では視認できない。 10.8mm x 9mm の領域に 30 素子が形成されており、周りには高電圧端子、出力信号などの端子などが配置されている。
(右)製造された mxdCMOS センサーユニットの 外観。30素子の搭載されている領域が中央の黒い部分。

本センサーにおいて、信号処理時間を130ナノ秒(ns、1nsは10億分の1秒)に設定し、X線の光子エネルギー分解能※4を評価したところ、光子エネルギー5.9キロ電子ボルト(keV、1keVは1,000電子ボルト)のX線に対して半値全幅(FWHM)※4170eVを達成しました。これは、高計数率動作に必要な短い信号処理時間条件下においても、優れたエネルギー分解能が維持されていることを示しています。


次に計数性能を評価した結果、mxdCMOSセンサーは入力強度約75Mphotons/sで飽和することが分かりました。これは単位面積当たり77Mphotons/s/cm²に相当し、多素子SDDとして世界最高の性能です。また、入力強度約30Mphotons/sまでの範囲で良好な線形応答※5を維持することを確認しました(図2)。



図2   mxdCMOS センサーの入力強度と出力強度の関係
入力強度約 75Mphotons/s で飽和し、約 30M photons/s まで線形応答を維持する。 Mphotons/s:million photons per second(毎秒100万光子)。

これにより、高強度放射光条件下においても高精度な定量測定が可能であることが示されました。


今後の期待

本研究ではセンサー開発にとどまらず、実利用可能な検出システムの構築まで行いました。そのため、SPring-8におけるオペランド測定※6X線吸収微細構造(XAFS)※7解析、半導体・電池材料研究で求められる微量元素分析、高速元素マッピングなどの放射光実験に直ちに導入することが可能です。これにより、測定時間の大幅な短縮や実験効率の向上が早期に実現できることが期待されます。


現在SPring-8では、既存技術で作成された非集積SDDが7個搭載された実験システムが稼働中です。本研究のmxdCMOSセンサーを12個並列配置した場合、この既存実験システムと比較して、約50倍の計数率が得られます。これにより、現状6時間を要する広範囲の元素マッピングがmxdCMOSセンサーによって約7分まで短縮できると考えられます。さらに、化学反応のリアルタイム追跡においても、約50倍短い時間間隔での測定が可能となることで、これまで観測が困難であった高速現象の追跡が可能になると期待されます。


本センサーを利用した検出システムの高性能化に向けて、素子境界で生じる弾道欠損※8を補正する高度信号処理技術の開発を進めます。これにより、素子間で発生する信号の不均一性を低減し、高計数率環境下においても安定したエネルギー分解能と高い定量精度を実現することを目指します。


また並行して、素子の量産化を進め、先端放射光分野へ広く展開するとともに、半導体・電池製造工程における高精度検査や分析装置への応用も図ります。これにより、放射光計測技術の高度化と産業分野への波及を同時に推進していきます。


共同研究グループ

理化学研究所 放射光科学研究センター
 初井宇記 (ハツイ・タカキ)
 東末敏明 (トウスエ・トシアキ)

高輝度光科学研究センター 研究DX推進室
 工藤統吾 (クドウ・トウゴ)
 (理研 放射光科学研究センター 客員研究員)
 小林和生 (コバヤシ・カズオ)
 (理研 放射光科学研究センター 客員研究員)

株式会社ディーアンドエス
 倉知郁生 (クラチ・イクオ)

株式会社エイアールテック
 今村俊文 (イマムラ・トシフミ)
 大本貴文 (オオモト・タカフミ)
 前田智晃 (マエダ・トモアキ)

株式会社MIST 
 松田祐二 (マツダ・ユウジ)


【用語解説】


※1. シリコン・ドリフト検出器(SDD)
入射したX線の光子エネルギーを高い分解能で測定できる半導体検出器。内部の電場構造により生成された電荷を中央の読み出し電極へ効率的に集めることで、低ノイズかつ高速な計測が可能である。放射光実験や元素分析装置などで広く用いられている。SDDはSilicon Drift Detectorsの略。


※2. 計数率(カウントレート)、Mphotons/s/cm²
計数率は単位時間当たりに検出できるX線光子の数。単位はcps(counts per second)やphotons/sで表される。計数率が高いほど、短時間で多くのデータを取得できる。センサー技術の性能指標としては、単位面積当たりの計数率が重要で、単位はphotons/s/cm²などが用いられる。Mphotons/s/cm²は「1平方センチメートル当たり毎秒100万光子」を意味する。


※3. 大型放射光施設「SPring-8」
理研が所有する、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す施設。SPring-8(スプリングエイト)の名前はSuper Photon ring-8 GeVに由来する。放射光(シンクロトロン放射)とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げたときに発生する細くて強力な電磁波のこと。SPring-8では、遠赤外線から可視光線、軟X線を経て硬X線に至る幅広い波長域で放射光が得られるため、原子核の研究からナノテクノロジー、バイオテクノロジー、産業利用や科学捜査まで幅広い研究が行われている。


※4. エネルギー分解能、半値全幅(FWHM)
エネルギー分解能はX線のエネルギーをどれだけ正確に識別できるかを示す指標。半値全幅はピーク幅を表し、この値が小さいほどエネルギー分解能が高い。本研究では5.9keVのX線に対して170eVを達成している。FWHMはFull Width at Half Maximumの略。


※5. 線形応答
入力強度に対して検出器の出力強度が比例関係を保つ性質。線形応答が維持されている範囲では、定量的な測定が正確に行える。


※6. オペランド測定
試料が実際に動作している状態(反応中・充放電中など)でその構造や状態を測定する手法。材料開発やデバイス研究において重要な解析方法。


※7. X線吸収微細構造(XAFS)
X線吸収スペクトルの微細な構造を解析する手法。元素の化学状態や局所構造を調べることができ、触媒反応や電池材料、半導体材料の研究などに用いられる。XAFSはX-ray Absorption Fine Structureの略。


※8. 弾道欠損
検出器の信号処理時間が短い場合に、信号が十分に形成される前に読み出されることで、X線エネルギーが過小評価されてしまう現象。これによりエネルギー分解能が低下する。


本件に関するお問い合わせ先
<発表者>
理化学研究所 放射光科学研究センター 制御情報・データ創出基盤グループ
グループディレクター 初井宇記 (ハツイ・タカキ)

高輝度光科学研究センター 研究DX推進室
特任研究員      工藤統吾 (クドウ・トウゴ)
(理研 放射光科学研究センター 客員研究員)

株式会社ディーアンドエス
代表取締役社長     倉知郁生 (クラチ・イクオ)

株式会社エイアールテック
代表取締役      今村俊文 (イマムラ・トシフミ)

株式会社MIST
代表取締役社長    松田祐二 (マツダ・ユウジ)

<機関窓口>
理化学研究所 広報部 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail:ex-pressatml.riken.jp

(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI) 利用推進部 普及情報課
TEL:050-3495-0247
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

本件に関するお問い合わせ先
<発表者>
理化学研究所 放射光科学研究センター 制御情報・データ創出基盤グループ
グループディレクター 初井宇記 (ハツイ・タカキ)

高輝度光科学研究センター 研究DX推進室
特任研究員      工藤統吾 (クドウ・トウゴ)
(理研 放射光科学研究センター 客員研究員)

株式会社ディーアンドエス
代表取締役社長     倉知郁生 (クラチ・イクオ)

株式会社エイアールテック
代表取締役      今村俊文 (イマムラ・トシフミ)

株式会社MIST
代表取締役社長    松田祐二 (マツダ・ユウジ)

<機関窓口>
理化学研究所 広報部 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail:ex-pressatml.riken.jp

(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI) 利用推進部 普及情報課
TEL:050-3495-0247
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工業的金属加工プロセスの超高速レントゲン診断法が実現
――SPring-8が新開発した透過力の高い明るいX線を用いることで、 世界ではじめて金属の切削・放電加工現象の観察に成功――


2026年2月20日
東京大学
理化学研究所
高輝度光科学研究センター


発表のポイント

◆産業・工業で重要な金属加工プロセスの超高速レントゲン診断法が実現しました。
◆SPring-8が新開発したX線を用いて金属内部の変形や動作のスローモーション撮像に成功。
◆自動車、航空、船舶など広範な工業分野において、金属加工技術の問題点を明らかにします。



工業的金属加工プロセスの超高速レントゲン診断

東京大学 先端科学技術研究センターの三村秀和教授(理化学研究所 放射光科学研究センターチームリーダー兼務)、理化学研究所 放射光科学研究センターの矢橋牧名グループディレクター、高輝度光科学研究センターの大橋治彦室長は、切削加工(注1)放電加工(注2)などの金属加工技術のための、超高速レントゲン診断法(注3)を開発しました。
本研究では大型放射光施設「SPring-8」(注4)(BL05XU)が新開発した極めて透過力の高い100 keVの明るいⅩ線(注5)を用いることで、5000分の1秒という超高速で、金属内部において金属が除去されて行く様子や加工工具が振動している様子を観察することに世界で初めて成功しました。

論文情報
雑誌名:Review of Scientific Instruments
タイトル:High-speed imaging of cutting and electrical discharge machining (EDM) in thin metals and fluids using high-intensity 100 keV x-rays
著者:Hidekazu Mimura, Gota Yamaguchi, Hiroto Motoyama, Satoru Egawa, Jianli Guo, Yujiro Hayashi, Hirokatsu Yumoto, Takahisa Koyama, Hiroshi Yamazaki, Yasunori Senba, Shunji Goto, Ichiro Inoue, Kenji Tamasaku, Taito Osaka, Jumpei Yamada, Haruhiko Ohashi, Makina Yabashi
掲載日:
DOI:10.1063/5.0279761


発表内容

自動車、家電、航空、船舶などあらゆる工業分野において、切削加工に代表される金属加工技術はものづくりの根幹であり、20世紀後半から現在に至るまで日本が世界をリードしている分野です。
現在、工場現場での加工プロセスの改善は職人的な手法で行われており、理論的解明が難しく、シミュレーターの利用はほとんど行われていません。その主な理由は、金属の加工プロセスは、金属内部や冷却液などの中で行われるため直接観察できないためです。物質の内部を観察する手段としては、X線がありますが、通常のⅩ線では強度が弱く、高速で見ることができず、また、金属内部を透過するためには、より透過力の強い高エネルギーのⅩ線が必要でした。
一方、近年、SPring-8では厚い金属を透過する100keVのX線を、極めて明るい光量で供給する技術を新開発しました。図1は、X線のエネルギーと金属の透過する厚さになります。このグラフから、100 keVのX線を用いると鉄や銅などの工業分野で主となる金属を数ミリメートル以上の厚さでも透過することがわかります。



図1:X線のエネルギーと各金属の透過力の関係(縦軸はX線の透過厚さを示す)
エネルギーが高いほど、金属の透過する厚さが増加します。

本研究では、図2に示すようにこの金属の透過力に優れたX線を、ドリル加工と放電加工の冷却液と金属内部を5000分の1秒の速さで観察、すなわち超高速レントゲン診断に用いました。
図3は、実際に銅合金をドリル加工した様子です。このように、鮮明に金属内部において工具により、金属が除去されていく様子を観察することに世界で初めて成功しました。さらに、ドリル工具の振動の様子もわかり、穴加工で防ぐべきバリの発生メカニズムも解明しました。本研究では、工業分野で重要な放電加工の観察にも成功しています。



図2 SPring-8での金属加工の超高速レントゲン診断の様子


図3 SPring-8において100 keVのX線によるドリル加工の動画の一部
上側は、穴をあけはじめ、下側は貫通後の動画の一部。実際は5000分の1秒の間隔で撮影

本手法により、冷却水や金属の内部で起こっている、誰も見たことがない金属除去過程や、切りくず発生、工具振動などをダイレクトに観察することができます。2年後に実現するSPring-8-IIにより、新開発されるX線は、さらに性能が向上します。そうすれば、より高い空間分解能と時間分解能で、切削加工、放電加工、レーザー加工や3Dプリンタなど、あらゆる金属プロセスの超高速レントゲン診断が可能になります。
開発した金属加工プロセスの超高速レントゲン診断法は、工作機械(注6)や工具開発を飛躍的に促進させ、日本がリードしている工作機械分野のさらなる発展に貢献することが期待できます。


発表者・研究者等情報

東京大学 先端科学技術研究センター
  三村秀和 教授
   兼:理化学研究所 放射光科学研究センター チームリーダー

理化学研究所 放射光科学研究センター
  矢橋牧名 グループディレクター

高輝度光科学研究センター ビームライン光学技術推進室
  大橋治彦 室長


研究助成

本研究は、科研費「高精度大型ウォルターミラーの開発とX線望遠鏡・X線顕微鏡への展開」
(課題番号:23H00156)の支援により実施されました。


【用語解説】


(注1) 切削加工
刃物を用いて材料を局所的に破壊しながら加工する技術。穴をあけるドリル加工、表面を削っていくミーリング、材料を切る切断加工など、様々な加工技術がある。


(注2) 放電加工
狭いギャップに高い電圧をかけると発生する放電現象を利用した加工技術。高い熱を発生することができ難加工材の加工に用いられる。


(注3) 超高速レントゲン診断
レントゲン診断はⅩ線を用いて体や物質の内部を観察する意味。すなわち、超高速レントゲン診断は、物質内部の早い動きを、スローモーションの動画にして診断すること。


(注4) 大型放射光施設「SPring-8」
理化学研究所が所有する兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す大型放射光施設で、利用者支援等はJASRIが行っている。SPring-8(スプリング・エイト)の名前はSuper Photon ring-8 GeVに由来。SPring-8では、放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。


(注5) 透過力の高い100 keVの明るいⅩ線
光子の持つエネルギーが高く、波長が極めて短いⅩ線。100 keVの場合、波長は0.0124ナノメートル。


(注6) 工作機械
金属や樹脂などの材料を削る、穴をあける、磨くなどの加工を行い、目的の形状に仕上げる「機械を作るための機械(マザーマシン)」。


本件に関するお問い合わせ先
<研究内容について>
東京大学先端科学技術研究センター
教授 三村 秀和(みむら ひでかず)

<機関窓口>
東京大学先端科学技術研究センター 広報室
TEL:03-5452-5424
E-mail:pressatrcast.u-tokyo.ac.jp

理化学研究所 広報部 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail:ex-pressatml.riken.jp

(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
 利用推進部 普及情報課
TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

本件に関するお問い合わせ先
<研究内容について>
東京大学先端科学技術研究センター
教授 三村 秀和(みむら ひでかず)

<機関窓口>
東京大学先端科学技術研究センター 広報室
TEL:03-5452-5424
E-mail:pressatrcast.u-tokyo.ac.jp

理化学研究所 広報部 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail:ex-pressatml.riken.jp

(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
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TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

ビタミンB12を用いた光受容タンパク質の活性化メカニズムを解明
~SACLAが捉えた光化学反応と生命応答の関係~


2026年2月5日
兵庫県立大学
理化学研究所
高輝度光科学研究センター


 フランスInstitut de Biologie StructuraleのMartin Weik教授及びRonald Rios-Santacruz大学院生(現研究員)、兵庫県立大学大学院理学研究科の當舎武彦教授、理化学研究所放射光科学研究センターの杉本宏専任研究員、公益財団法人高輝度光科学研究センターの大和田成起主幹研究員を含む国際共同研究グループは、ビタミンB12※1を用いて光を感知する光受容タンパク質 CarH の活性化機構の詳細を、X線自由電子レーザー(XFEL)※2施設SACLA※3を活用した時間分解構造解析※4を中心に、種々の計測手法を駆使して解明しました。光受容タンパク質は、視覚、光合成、体内時計など、生命にとって基本的かつ重要な機能に関わっています。細菌のCarH は補因子※5としてビタミンB12を利用する新しいタイプの光受容体ですが、その光応答の分子機構は不明でした。本研究では、光照射によって引き起こされる反応をナノ秒(10億分の1秒)から3秒までの範囲で追跡し、これまでみることができなかった光活性化途中の姿(反応中間体)を捉え、その役割を明らかにしました。本成果は、光によるタンパク質制御の理解を大きく進めるもので、2026年2月4日に英科学誌「Nature」に掲載されました。


【論文情報】
題名:Integrated structural dynamics uncover a new B12 photoreceptor activation mode
日本語訳:動的構造解析によるビタミンB12光受容体タンパク質の活性化機構の解明
著者:R. Rios-Santacruz, H. Poddar, K. Pounot, D. J. Heyes, N. Coquelle, M. J. Mackintosh, L. O. Johannissen, S. Schianchi, L. N. Jeffreys, E. De Zitter, R. Munro, M. Appleby, D. Axford, E. V. Beale, M. J. Cliff, M. Davila, S. Engilberge, G. Gotthard, K. Hadjidemetriou, S. J. O. Hardman, S. Horrell, J. S. Hub, K. Ishihara, S. Jaho, G. Karras, M. Kataoka, R. Kawakami, T. Mason, H. Okumura, S. Owada, R. L. Owen, A. Royant, A. Saaret, M. Sakuma, M. Shanmugam, H. Sugimoto, K. Tono, N. Zala, J. H. Beale, T. Tosha, J.-P. Colletier, M. Levantino, S. Hay, P. M. Kozlowski, D. Leys, N. S. Scrutton, *M. Weik & G. Schiro(*は責任著者)
ジャーナル名:Nature
掲載日:2026年2月4日
DOI:10.1038/s41586-025-10074-2


【研究の背景】
 CarHは細菌にみられ、ビタミンB12を用いて光を感知し、カロテノイド※6合成に関わるタンパク質の合成を制御する光応答型転写調節因子※7です。CarHに結合したビタミンB12が光を受容すると、CarHの構造が変化します。その結果、四量体を形成していたCarHが単量体になることで、DNAに結合する能力を失い、タンパク質の合成が制御されます(図1)。ビタミンB12は、酵素の活性部位として機能し、生体内で様々な化学反応を行うことがよく知られています。一方で、CarH のような光受容タンパク質において、ビタミンB12が利用される例はあまり知られていません。CarHがどのようにして「光」による機能制御を可能にしているのか、その要因は明らかになっていませんでした。この疑問に答えるために、CarHが光を受けた直後のナノ秒から、最終的にタンパク質の構造が大きく変化する数秒までの「姿」をみることが重要になります。



図1 CarHの構造と機能。CarHは光を感知するためにビタミンB12を利用している。CarHが光を受けると四量体から単量体へと構造が変化し、DNAに結合できなくなる。


【研究内容と成果】
 研究グループは、主にXFEL施設SACLAでの時間分解構造解析を利用して、CarH の光活性化過程を詳細に解析しました(図2)。その結果、光照射によってビタミンB12誘導体中のコバルト–炭素結合(Co–C結合)が切断された後、3マイクロ秒(マイクロ秒は百万分の1秒)で、これまで知られていなかった新しい反応中間体が形成されることを発見しました。この中間体では、光を受容する前にみられたビタミンB12誘導体中のCo–C結合(Co–C5’結合)とは異なる新たなCo–C結合(Co–C4’結合)ができており(図2)、その後に起こる大きな構造変化を引き起こす鍵となっていることがわかりました。そして、CarH は四量体から単量体へ変化し、DNA結合能を失うことで転写制御が切り替わります。この仕組みは、ビタミンB12をもつ酵素とは本質的に異なる光受容タンパク質特有のものであることが示されました。



図2 XFEL施設SACLAでの時間分解構造解析で明らかとなったCarHの光活性化の仕組み。本研究では、光照射の3マイクロ秒後にCo-C4’結合をもつ新たな反応中間体を発見した。


【今後の展開】
 本研究は、光照射のナノ秒から数秒後のCarHの姿を捉えることで、ビタミンB12を用いた光受容の仕組みを理解した成果です。この知見は、光による遺伝子制御の理解を深めるだけでなく、将来的にはオプトジェネティクス※8への応用や、光をつかってタンパク質の働きを自在に操作する技術への応用が期待されます。


【謝辞】
 本研究は、理研が提供するSACLA大学院生研究支援プログラム及び二国間交流事業(フランス(MEAE-MESRI)との共同研究)による支援を受けて実施されました。


【用語解説】


※1. ビタミンB12
コバラミンと呼ばれる化合物の総称で、中心にコバルト原子をもつ大きな環状の有機金属分子である。生体内では、アデノシルコバラミンやメチルコバラミンといった形(ビタミンB12誘導体)で存在し、酵素の活性部位として働く。ヒトや動物にとって必須のビタミンの一種である。


※2. X線自由電子レーザー(XFEL)
近年の加速器技術の発展によって実現したX線領域のパルスレーザー。SPring-8などの従来の放射光源と比較して、10億倍もの高輝度のX線がフェムト秒(1,000兆分の1秒)の時間幅を持つパルス光として出射される。この高い輝度を活かし、数十マイクロメートル以下の小さな結晶を用いたタンパク質の原子分解能の構造解析に利用されている。また、フェムト秒パルスの特性を活かし、X線照射による試料損傷が顕在化する前のありのままの構造の解析や、時間分解測定が可能となる。


※3. SACLA
理化学研究所と高輝度光科学研究センターが共同で建設した日本ではじめてのXFEL施設。2011年3月に施設が完成し、SPring-8 Angstrom Compact free electron LAserの頭文字を取ってSACLAと命名された。大きさが諸外国の同様の施設と比べて数分の1とコンパクトであるにもかかわらず、0.1 nm以下という世界最短波長クラスのレーザーの生成能力をもつ。高い空間コヒーレンス、短いパルス幅、高いピーク輝度を備えたX線領域のレーザーを発生させる。


※4. 時間分解構造解析
タンパク質などの分子の構造が時間とともにどのように変化するかを調べる手法である。光や温度変化などの刺激を与え、その直後からの構造変化を観察することで、反応の途中段階を捉えることができる。これにより、反応がどのようにして進むのか、を構造の変化として理解できる。


※5. 補因子
酵素やタンパク質が働くために必要な、タンパク質以外の成分である。多くの酵素は、補因子が結合してはじめて反応を進めることができる。補因子には、金属イオンやビタミン由来の有機分子などがある。


※6. カロテノイド
黄色や赤色の色素として知られる有機化合物で、植物や藻類、細菌などに広く存在する。光を吸収する性質をもち、光合成の補助や、強い光から細胞を守る働きがある。代表的なものに、ニンジンに含まれるβカロテンがある。


※7. 転写調節因子
DNAに結合して遺伝子の転写を促進したり抑制したりするタンパク質である。細胞が環境の変化に応じるために重要である。


※8. オプトジェネティクス
光に反応するタンパク質を細胞内に導入し、光を当てることで細胞の働きや遺伝子の発現を制御する技術である。光を当てる、場所や時間をコントロールできることが特徴であり、生命現象の理解に役立っている。


【問い合わせ先】
(研究に関すること)
當舎 武彦(トウシャ タケヒコ)
兵庫県立大学 大学院理学研究科 教授

杉本 宏(スギモト ヒロシ)
理化学研究所 放射光科学研究センター
生命系放射光利用システム開発チーム 専任研究員

大和田 成起(オオワダ シゲキ)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
XFEL利用研究推進室 先端光源利用研究グループ
実験技術開発チーム 主幹研究員

Martin WEIK
Institut de Biologie Structurale, Professor

(報道に関すること)
兵庫県立大学 播磨理学キャンパス経営部総務課
TEL:0791-58-0101
E-mail:soumu_harimaatofc.u-hyogo.ac.jp

理化学研究所 広報部 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail:ex-pressatml.riken.jp

(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
 利用推進部 普及情報課
TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
當舎 武彦(トウシャ タケヒコ)
兵庫県立大学 大学院理学研究科 教授

杉本 宏(スギモト ヒロシ)
理化学研究所 放射光科学研究センター
生命系放射光利用システム開発チーム 専任研究員

大和田 成起(オオワダ シゲキ)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
XFEL利用研究推進室 先端光源利用研究グループ
実験技術開発チーム 主幹研究員

Martin WEIK
Institut de Biologie Structurale, Professor

(報道に関すること)
兵庫県立大学 播磨理学キャンパス経営部総務課
TEL:0791-58-0101
E-mail:soumu_harimaatofc.u-hyogo.ac.jp

理化学研究所 広報部 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail:ex-pressatml.riken.jp

(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
 利用推進部 普及情報課
TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

タンパク質の動きを捉える新しい試料導入システムを開発
-テープ搬送による試料導入で試料消費量を低減-


2026年2月16日
理化学研究所
高輝度光科学研究センター
東北大学
京都大学


理化学研究所(理研)放射光科学研究センタービームライン開発チームの姜正敏研究員、同SACLAビームライン基盤グループの矢橋牧名グループディレクター、高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室の登野健介チームリーダー、東北大学多元物質科学研究所の南後恵理子教授、京都大学大学院医学研究科の岩田想教授らの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA※1」において、タンパク質の動きを捉える連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)※2のための試料を導入する新たなシステムを開発しました。
本研究成果により、わずかな量の試料で時分割の構造解析が可能となり、タンパク質の動きが原子レベルで明らかになることが期待されます。
生体の重要な構成成分であるタンパク質が機能する際、巧妙にその構造を変えて機能を発揮していることが知られています。その動きを動画のように可視化する技術として、XFELを用いた時分割連続フェムト秒結晶構造解析(時分割SFX)※2が利用されてきました。
今回、国際共同研究グループは、SACLAにおいて、結晶を含んだ微小液滴をテープの上に滴下し、ベルトコンベアのようにX線レーザーの照射領域に運ぶ手法を開発しました。結晶を含んだ微小液滴に反応分子などを含む別の微小液滴を重ねて滴下することにより、タンパク質が反応する過程を追跡する実験も可能となりました。
本研究は、科学雑誌『Journal of Applied Crystallography』(2月8日付)に掲載されました。



テープ搬送による試料導入システムでタンパク質の動的構造解析をわずかな試料で実現


論文情報
雑誌名:Journal of Applied Crystallography
タイトル:Compact Tape-Driven Sample Delivery System for Serial Femtosecond Crystallography
著者:Jungmin Kang, Yoshiaki Shimazu, Fangjia Luo, Ayumi Yamashita, Tomoyuki Tanaka, Yuichi Inubushi, Kensuke Tono, Nipawan Nuemket, Allen M. Orville, So Iwata, Eriko Nango, and Makina Yabashi
掲載日:2026年2月8日
DOI:10.1107/S1600576726000063


背景

ヒトの体の重要な構成成分であるタンパク質は、複雑に折り畳まれた構造を取っています。その立体構造と機能は深く関連しており、タンパク質が機能を発揮する際には巧みに構造を変えることが知られています。この動的な構造変化を原子レベルで解明することは、生命現象の理解や薬剤設計の上でも重要です。しかし、従来の方法ではタンパク質分子が素早く変化する過程を原子レベルで可視化することは困難でした。
X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた「連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)」は、この動的構造の解明に大きな進展をもたらしました。SFXは、フェムト秒(1,000兆分の1秒)単位の極めて短い発光時間を持つX線レーザーをタンパク質の微小結晶に照射し、生体温度に近い条件で立体構造データを取得する手法です。特に「時分割連続フェムト秒結晶構造解析(時分割SFX)」は、光、熱などの物理的刺激や、基質※3リガンド(配位子)※4などの分子との結合によってタンパク質との反応が開始する時間を変えながら測定が可能であり、構造変化をリアルタイムに捉える唯一の手法として用いられてきました。
XFELを用いた実験では、高強度のX線レーザーによる照射後に試料が崩壊するため、新たな試料を次々と導入する必要があります。従来のSFX実験では、微小結晶を液体に混合してX線レーザーによる照射位置まで連続的に流す方法が使われてきました。しかし、X線レーザーは連続的に試料に照射されるのではなく、例えば1秒間に数十回程度の繰り返しで間欠的に照射されます。X線レーザーが照射されていない間も試料は流れ続けるため、その大部分がX線レーザー照射の実験に用いられず浪費されていました。タンパク質試料の調製には多大な時間とコストを要するため、この浪費を最小限に抑えることは重要な課題となっています。


研究手法と成果

タンパク質試料の浪費といった課題を解決するため、先行研究ではテープをコンベアベルトとして利用し、その上に滴下した液滴をX線レーザー照射位置まで運ぶ方法が提案されていました。国際共同研究グループは、この手法をさらに発展させ、よりコンパクトで実用性の高い試料導入システムを開発しました(図1)。



図1 テープ搬送による試料導入システムの概念図
ナノリットルスケールの微小液滴を高速に吐出する装置を2台、テープ送り方向に沿って配置し、結晶を含む微小液滴と反応分子溶液の微小液滴をテープ面上に重ねて吐出する。X線レーザーの照射位置までベルトコンベアのように運び、液滴が載ったテープ面に対して垂直にX線を照射してデータを取得する。X線レーザーパルスの照射タイミングに合わせて液滴を供給し、試料の浪費を抑える。

このシステムでは、ナノリットル(nL、1nLは10億分の1リットル)スケールの微小液滴を高速に吐出(としゅつ)する装置を2台、テープ送り方向に沿って直列に配置しました。テープは、耐久性などに優れた、厚さ約12マイクロメートル(µm、1µmは100万分の1メートル)のポリイミドフィルムを採用しました。それぞれの液滴吐出装置から、結晶を含む微小液滴と反応分子溶液の微小液滴をテープ面上に連続的に重ねて吐出します。その後、ベルトコンベアのようにX線レーザーの照射位置まで液滴を運び、液滴が載ったテープの裏面から垂直にX線レーザーを照射してデータを取得します。テープ面をX線に垂直に配置したことで、X線の焦点とテープ面上の液滴との位置合わせが飛躍的に簡便になり、測定の安定性が向上しました。また、液滴の吐出タイミングを、間欠的なX線レーザーの照射と同期させることで、高効率にデータを収集することができます。さらに、テープ送り速度や反応開始地点からX線照射位置までの距離を調整することで、約0.1秒から20秒弱までの範囲で、二つの微小液滴の混合時間を制御できるようにしました。


本システムの性能を実証するため、X線自由電子レーザー施設「SACLA」において、二液混合型の時分割SFX実験を実施しました。モデルタンパク質試料として、酵素であるニワトリ卵白由来のリゾチーム※5の結晶と、その阻害剤であるN-アセチルグルコサミン※6を使用しました。実験では、リゾチーム結晶を含む微小液滴と、N-アセチルグルコサミン溶液の微小液滴がテープ面上で重なった時からX線レーザーが照射されるまでの時間を数点設定し、反応過程における活性部位の変化を追跡しました。


この実験により、混合から一定時間経過後に、基質がリゾチームの活性部位に結合していく過程を原子レベルで捉えることに成功しました(図2)。さらに、各時点のデータセットを取得するために必要なリゾチームの消費量をわずか1~2mgに抑えることができました。これは、従来の実験方法に比べて、数十~数百分の1に当たる量となります。本システムでは、可視光レーザーを導入することで光励起型の時分割SFX実験も可能であり、これまで以上に多様なタンパク質に対して時分割SFX実験を適用することができます。



図2 リゾチームの反応過程における活性部位の変化
一定時間経過後に、基質がリゾチームの活性部位に結合していく過程の原子レベルでの立体構造。各図中の左上は、リゾチーム結晶を含む微小液滴に反応分子溶液を滴下した後の経過時間。青色のメッシュは電子密度で、活性部位の変化を示している。メッシュ内スティックモデルの黄色は炭素原子、青色は窒素原子、赤色は酸素原子を示す。

今後の期待

今回開発したシステムは、従来SFXで用いられてきた連続的な試料導入方法とは異なり、XFELを用いたX線レーザーの照射に同期した試料導入により試料消費量を削減するとともに、安定して高品質なデータを取得することを可能にしました。また、従来の方法に比べ、反応開始後から数十秒といった遅い反応を捉えることもできます。本技術の普及により、酵素などにおける反応過程の解明や、薬剤が標的タンパク質に結合する詳細なプロセスの可視化が加速されることが期待されます。


国際共同研究グループ

理化学研究所 放射光科学研究センター
 ビームライン開発チーム
  研究員          姜 正敏     (カン・ジョンミン)
 SACLAビームライン基盤グループ
  グループディレクター   矢橋牧名     (ヤバシ・マキナ)

高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室
  チームリーダー      登野健介     (トノ・ケンスケ)

東北大学 多元物質科学研究所
  教授           南後恵理子    (ナンゴ・エリコ)
  (理研 SACLA利用技術開拓グループ(研究当時) チームリーダー(研究当時))

京都大学 大学院医学研究科
  教授           岩田 想     (イワタ・ソウ)
  (理研 SACLA利用技術開拓グループ(研究当時)
  グループディレクター(研究当時))

Diamond Light Source UK XFEL Hub(英国)
  グループリーダー     アレン・オルベイル(Allen M. Orville)


研究支援

本研究は、理化学研究所放射光科学研究センター「SACLA/SPring-8基盤開発プログラム(研究代表者:岩田想)」、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業新学術領域研究(研究領域提案型)「高速分子動画法によるタンパク質非平衡状態構造解析と分子制御への応用(研究代表者:岩田想)」、同学術変革領域研究(A)「タンパク質機能のポテンシャルを解放する生成的デザイン学(研究代表者:林重彦)」、日本医療研究開発機構(AMED)「創薬等先端技術基盤プラットフォーム(AMED-BINDS)」による助成を受けて行われました。


【用語解説】


※1. SACLA
理研と高輝度光科学研究センター(JASRI)が共同で建設した日本初のX線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free-Electron Laser)施設。加速器の中で電子の固まりを正確な制御の下で一斉に振動させ、その電子の固まりからX線レーザーを発生させるX線発生装置。2006年度から5年間の計画で建設・整備を進めた国家基幹技術の一つで2011年3月に完成し、SPring-8 Angstrom Compact free-electron LAserの頭文字を取ってSACLA(サクラ)と命名された。2011年6月に最初のX線レーザーを発振、2012年3月から供用運転が開始され、利用実験が始まった。大きさが諸外国の同様の施設と比べて数分の1と、コンパクトであるにもかかわらず、0.1ナノメートル以下という世界最短波長クラスのレーザーの生成能力を有している。詳細はSACLAのウェブサイト ( http://xfel.riken.jp/ ) を参照。


※2. 連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)、時分割連続フェムト秒結晶構造解析(時分割SFX)
連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)は、多数の微小結晶を含む液体などをインジェクターと呼ばれる装置から連続的に導入し、フェムト秒のX線レーザーパルスを照射して結晶構造を解析する手法。配向(配列方向)の異なる多数の微小結晶からの回折データを連続的に収集する。さらに、光照射(光励起型)、温度上昇、基質(※3参照)混合(二液混合型)などで反応が開始する時間を変えながら測定することで、タンパク質の構造変化をフェムト秒~ 秒スケールで連続追跡し、反応過程を “動画”のように可視化できる手法を時分割SFXという。SFXは、Serial Femtosecond Crystallographyの略。


※3. 基質
酵素反応によって消費される化学物質のこと。例えば、酒類に含まれるエタノールはアルコール分解酵素の基質である。


※4. リガンド(配位子)
受容体や酵素などの標的タンパク質に結合し、その働きを「スイッチ」のように調節する分子。医薬品候補の多くはリガンドとして作用し、病気に関わる反応を選択的に制御する。構造解析によりタンパク質とリガンドの結合様式を可視化できる。


※5. リゾチーム
多糖類を加水分解する酵素の一つ。本研究で用いたニワトリ卵白リゾチームは129個のアミノ酸残基により構成されており、2個のメチオニン、および8個のシステインを含む。タンパク質のX線結晶構造解析において、リゾチームはモデルタンパク質としてよく用いられる。


※6. N-アセチルグルコサミン
アセチル化した2-アミノグルコースで糖の一種。細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)や真菌のキチン、糖タンパク質の糖鎖の構成要素として広く存在する。生体分子の安定化や認識、シグナル伝達に関与する。


本件に関するお問い合わせ先
<発表者>
理化学研究所 放射光科学研究センター
 ビームライン開発チーム
  研究員 姜 正敏 (カン・ジョンミン)
 SACLAビームライン基盤グループ
  グループディレクター 矢橋牧名 (ヤバシ・マキナ)

高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室
 チームリーダー 登野健介 (トノ・ケンスケ)

東北大学 多元物質科学研究所
教授 南後恵理子(ナンゴ・エリコ)

京都大学 大学院医学研究科
教授 岩田 想 (イワタ・ソウ)

<機関窓口>
理化学研究所 広報部 報道担当
TEL:050-3495-0247
E-mail:ex-pressatml.riken.jp

公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI) 利用推進部 普及情報課
TEL:0791-58-2785
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
TEL:022-217-5198
E-mail:press.tagenatgrp.tohoku.ac.jp

京都大学 広報室 国際広報班
TEL:075-753-5729
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(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
 利用推進部 普及情報課
TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

本件に関するお問い合わせ先
<発表者>
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  研究員 姜 正敏 (カン・ジョンミン)
 SACLAビームライン基盤グループ
  グループディレクター 矢橋牧名 (ヤバシ・マキナ)

高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室
 チームリーダー 登野健介 (トノ・ケンスケ)

東北大学 多元物質科学研究所
教授 南後恵理子(ナンゴ・エリコ)

京都大学 大学院医学研究科
教授 岩田 想 (イワタ・ソウ)

<機関窓口>
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リアルタイムで見えた!3000℃の世界で起こる物質の変化
-SPring-8が照らす原子の動き、安全性の高い燃料や新規材料の開発へ-


令和8年1月26日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
国立大学法人福井大学
国立大学法人東京科学大学
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構


【発表のポイント】
● 原子力を安全に利用するためには、ウラン燃料が高温になり溶け始めるときに、どのような変化が起こり周囲の材料と反応するのかを正確に理解することが重要です。
● 研究チームは、3000℃を超えるような超高温物質に対してSPring-8の強力なX線を照射し、その構造変化をリアルタイムで観察できる新しい技術を開発しました。この技術により、燃料や被覆管が溶ける瞬間から、化学反応を経て固まるまでの一連の過程を追跡することが可能になりました。
● 開発した観測技術は、安全性の高い燃料開発や燃料の変性過程の理解に役立つだけでなく、航空宇宙・鉄鋼分野の新規材料開発研究にも応用が期待されます。


 原子力発電では、原子炉の中で核燃料が非常に大きな熱を生み出しています。通常は、冷却することで安定した状態が保たれていますが、もし冷却が止まると燃料の温度が急上昇し、周囲の材料を溶かしてしまう恐れがあります。こうした事故を防ぐためには、高温に強く、安全性の高い燃料が欠かせません。その開発には、ウラン燃料が超高温になると、どのように姿を変え、周囲の材料とどんな化学反応を起こすのかを詳しく知ることが必要です。しかし、燃料と周囲の材料が溶けて反応するような超高温での反応を観察することは困難で、これまでは理論的に推測するしかありませんでした。


 研究チームは大型放射光施設SPring-8(注1)において、3000℃を超える超高温下で起こる物質の変化をリアルタイムで観察できる新しい分析技術を開発しました。試料を超高温に保ちながらX線を照射し、リアルタイム分析により反応の瞬間を捉えて、物質が「溶ける瞬間」を直接確認します。今回、模擬核燃料を用いた実験を行い、周囲の材料が高温で溶け、冷え固まるまでのプロセスについて、直接かつ原子レベルで明らかにすることに成功しています。この成果は、より安全な核燃料の開発に貢献できるとともに、航空宇宙分野などで求められる超高温に耐える新規材料の開発への応用も期待されています。


 本開発は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長:小口正範、以下「原子力機構」)原子力科学研究所 物質科学研究センター 放射光科学研究グループの谷田肇技術主幹、小林徹研究副主幹、小畠雅明技術副主幹、福田竜生研究副主幹、国立大学法人福井大学(学長:内木宏延)附属国際原子力工学研究所の有田裕二教授、国立大学法人東京科学大学(理事長:大竹尚登、以下「Science Tokyo」)ゼロカーボンエネルギー研究所の伊藤あゆみ特任准教授、国立大学法人東北大学(総長:冨永悌二)金属材料研究所の小無健司特任研究員、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長:小安重夫、以下「QST」)放射光科学研究センターの矢板毅研究員によるものです。


 本開発成果は、令和7年10月に日本化学会欧文誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」にて発表されました。


論文情報
雑誌名:日本化学会欧文誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」
タイトル:Combined in situ quick X-ray absorption fine structure and X-ray diffraction systems for ultra-high temperature metal oxides
著者:Hajime Tanida, Tohru Kobayashi, Tsuyoshi Yaita, Masaaki Kobata, Tatsuo Fukuda, Ayumi Itoh, Kenji Konashi, Yuji Arita
掲載日:2025年10月
DOI:10.1093/bulcsj/uoaf088



高温環境での実験をリアルタイムに分析できる装置の概念図


【これまでの背景・経緯】
 原子炉の中では、核燃料が大量の熱を生み出しています。通常は水などの冷却材がその熱を取り除くことで、原子炉や燃料は安定した状態を保っています。しかし、何らかの原因で冷却がうまくいかなくなると、燃料の温度は急激に上昇し、燃料そのものやそれを包む被覆管が溶けたり、化学反応を起こしたりする恐れがあります。そのため、燃料の安全性を評価するには、「燃料が溶けるような超高温下で燃料や被覆管がどのように変化するのか」を詳しく理解することが欠かせません。従来の研究では、加熱した試料を室温まで冷却した後に分析を行い、どのような変化が起こったのかを推測しています。しかし、この方法では、「どの温度で、どのくらいの時間で」変化が進んだのかを正確に知ることは難しく、現象の本質に迫ることはできませんでした。
 超高温下での変化をより深く理解するためには、物質や材料が実際に変化している瞬間に、原子レベルの微細構造変化や酸化・還元といった化学状態の変化をリアルタイムに観察することが重要です。大型放射光施設SPring-8で作る放射光X線を利用すれば、X線回折(XRD)法(注2)で物質の構造変化を、X線吸収分光(XAFS)法(注3)で物質の化学状態の変化を観察することが可能です。XRD法やXAFS法は、これまでも高温実験に用いられてきましたが、3000℃に近い超高温領域では温度を安定して保つことが難しく、十分な観測結果を得ることは容易ではありませんでした。
 そこで私たちの研究チームは、温度を安定して制御できる新しい薄型電極を備えた電気炉を開発しました(図1)。この装置では試料をしっかり保持したまま超高温での観察が可能となり、試料の変化をリアルタイムで観測することに成功していました(1)



図1 大型放射光施設SPring-8に設置された電気炉


【今回の成果】
 研究チームは、SPring-8の原子力機構専用ビームラインBL22XUにおいて、超高温状態でXRD法とXAFS法を同時に利用できる新しい分析システムを開発しました。
 このビームラインでは、アンジュレータ(注4)という非常に強力なX線を作り出せる光源を利用できます。アンジュレータから、さまざまなエネルギーを含む白色X線をまず取り出して、X線分光器(注5)に照射します。このとき、X線分光器を動かして白色X線に対する角度を変えることで、特定のエネルギーのX線のみを取り出します。このX線分光器を高速に動かす技術を構築することで、数十秒毎の化学状態をXAFS法により連続写真のように測定しつつ、同時にXRD法による測定も行うことができる革新的なシステムを実現しています(図2)。



図2 試料に照射する単色X線を作るしくみ


 さらに、試料を安定して超高温に保つことができる、厚さ0.5mmの薄型電極を備えた小型電気炉を組み合わせることで、試料が「溶け始める瞬間」から「反応が進む過程」までをリアルタイムで観察することに成功しました。試料サイズを最小限に抑えることで、密閉されたグローブボックス内に設置できるほど装置をコンパクト化しており、安全な環境下での実験を可能にしています。
 開発したシステムを用いて、原子炉燃料である二酸化ウランを模した酸化セリウムに、被覆管材料であるジルコニウムと酸化ジルコニウムを加えた混合試料による試験を行いました。加熱しながら測定を行ったところ、約1500℃付近で、XAFS法によってジルコニウムと酸素の結合状態の変化が確認され、それとともに、XRD法によって酸化ジルコニウムの結晶構造の変化を確認することができました(図3)。



図3(左)XAFS法によるジルコニウム原子(Zr)まわりの原子構造の変化、(中)XRD法による回折パターン、(右)室温および 1494℃ における酸化ジルコニウム(ZrO2)の結晶構造
XAFS法測定(左)から、1494℃では室温と比べ酸素原子との結合(Zr–O)は弱まり、Zr同士の結合(Zr–Zr)が強まることが分かる。また、ZrO2自身の結晶構造が変化していることもXRD法(中)で確認した。幅広い温度領域で短時間に詳細なデータを取得できたことで、構造変化の過程をより精密に議論できるようになった。


 この結果は、高温加熱過程において酸化ジルコニウムが構造変化を起こすとともに、酸化セリウムが酸化ジルコニウムへ固溶していく過程を、その場観察によって初めて明瞭に捉えた成果です。被覆管を構成するジルコニウムの高温領域における変性過程を見いだした点で、燃料と被覆管の反応メカニズムの理解に新たな手掛かりを与えています。また、本システムを用いて、金属ジルコニウムが酸化して酸化ジルコニウムとなり周りの酸化物と反応する様子を、2200℃を超える高温領域まで観測することにも成功しており、今後の原子力材料研究への幅広い応用が期待されます。(2)


【今後の展望】
 SPring-8の原子力機構専用ビームラインでは、これまでウランを含む試料を数多く観察してきました。この経験を活かし、今後は実際に燃料に配合される二酸化ウランなどに対しても、溶けてから冷え固まるまでの一連の過程をリアルタイムで観察し、その生成のしくみや性質を理解して、燃料の安全性を高めていくことを目指します。さらに、本研究で開発した「超高温下リアルタイム観測技術」は、原子力分野にとどまらず、航空宇宙、鉄鋼などの極限環境に耐える新規材料開発にも応用可能です。私たちは、この技術を通じて、安全で持続可能な社会の実現に貢献していきます。


【参考文献】
(1) K. Niino, Y. Arita, K. Konashi, H. Watanabe, T. Yaita, H. Tanida, T. Kobayashi, K. Morimoto, M. Watanabe, Y. Miura, J. Nucl. Sci. Technol., 2024, 61, 733.
(2) A. Itoh, S. Matsuo, K. Yoshida, K. Konashi, R. Ikuta, K. Niino, Y. Arita, M. Kobata, T. Fukuda, T. Kobayashi, H. Tanida, T. Yaita, J. Synchrotron Rad., 2024, 31, 810.


【各機関の役割】
<原子力機構>
谷田肇技術主幹:システム開発
小林徹研究副主幹、小畠雅明技術副主幹、福田竜生研究副主幹:実験、考察
<福井大学>
有田裕二教授:電気炉開発
<Science Tokyo>
伊藤あゆみ特任准教授:解析、考察
<東北大学>
小無健司特任研究員:考察
<QST>
矢板毅研究員:考察


【助成金の情報】
本研究の一部は、原子力システム研究開発事業「人工知能(AI)技術を取り入れた核燃料開発研究の加速」(令和2年度~令和3年度、研究代表者:小無健司)および「核燃料の超高温その場観察技術の開発」(令和5年度~令和7年度、研究代表者:有田裕二)によって行われました。


【発明情報】
発明の名称:試料加熱ホルダーとその使用方法
特許出願公開番号:特開2024-30202
出願人:東北大学、福井大学、原子力機構、国立研究開発法人産業技術総合研究所


【用語の説明】


(注1) 大型放射光施設SPring-8
兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す施設で、国立研究開発法人理化学研究所が運営しています。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeV(ギガ電子ボルト)に由来します。放射光とは、電子を光に近い速度まで加速し、磁場によって進行方向を曲げた時に発生する、指向性が高く強力な電磁波のことです。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーから産業応用まで幅広い研究が行われています。


(注2) X線回折(X-Ray Diffraction 、XRD)法
結晶性の物質にX線を照射した際、周期的に配列した原子により散乱されたX線が特定の方向で干渉し強め合う回折現象を観測し、結晶構造を調べる実験手法です。


(注3) X線吸収分光(XAFS)法
物質にX線を照射した際に吸収される量のエネルギー依存性を観測する実験手法です。特に元素ごとの吸収量変化を調べたものはX線吸収微細構造(X-ray Absorption Fine Structure)と呼ばれ、酸化状態などの化学的情報や元素の周囲の局所構造が得られます。


(注4) アンジュレータ
SPring-8の装置の一つで、電子の通り道にある周期的に並んだ磁石列のことです。磁石列の中を電子が蛇行して進むことで、強力なX線が発生します。


(注5) X線分光器
さまざまなエネルギーを持ったX線の中から、特定のエネルギーのX線だけを抜き出す装置です。シリコンなどの結晶による反射を利用しています。


本件に関するお問い合わせ先
(研究内容について)
 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
 原子力科学研究所 物質科学研究センター
 放射光科学研究グループ
 谷田 肇

(報道担当)
 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
 総務部 報道課

 国立大学法人福井大学
 広報センター

 国立大学法人東京科学大学
 経営企画部 広報課

 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
 国際・広報部 国際・広報課

(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人高輝度光科学研究センター
 利用推進部 普及情報課
TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786
E-mail:kouhouatspring8.or.jp

本件に関するお問い合わせ先
(研究内容について)
 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
 原子力科学研究所 物質科学研究センター
 放射光科学研究グループ
 谷田 肇

(報道担当)
 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
 総務部 報道課

 国立大学法人福井大学
 広報センター

 国立大学法人東京科学大学
 経営企画部 広報課

 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
 国際・広報部 国際・広報課

(SPring-8 / SACLAに関すること)
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 利用推進部 普及情報課
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E-mail:kouhouatspring8.or.jp


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