SFX(結晶構造解析)

 

 

連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)の共用実験装置として、DAPHNIS(Diverse Application Platform for Hard X-ray diffractioN In SACLA)が利用可能です。

 

 

 

 

 

DAPHNISの基本性能

 

 

回折像取得レート 30 Hz
検出器距離 50 mm
検出エリア ~110 ⅹ 110 mm2
到達可能分解能 @10 keV 1.5 Å (検出エリア内接円上において )
ヒット率 典型的な値として20–30%
(高粘度試料インジェクタ利用時)
インデックス率 典型的な値として60–70%
解析に利用される回折像の数
(分子置換法の場合)
< 1 ⅹ 104 (静的構造解析)
~2 ⅹ 104 (ポンププローブ計測)

 

 

 

光化学系II複合体の反応中間体の構造を解明

 

 

 

SACLAのX線短パルスを使用することで、光化学系II 複合体 (PSII) の水分解反応サイクルにおける中間体の構造を捉えることに成功しました。

 

Isomorphous difference Fourier map


ー Isomorphous difference Fourier map

 

 

 

参考文献:
M. Suga et al., Nature 543, 131 (2017).

 

 

 

バクテリオロドプシンが光吸収後に構造を変化させる様子を捉え、水素イオンを輸送する仕組みを解明

bR
 ー Crystallographic structural models of bR/Close-up view of difference electron density across the Asp85-Thr89 H bond

 

 

 

参考文献:
E. Nango et al., Science, 354, 1552 (2016).

 

DAPHNIS[1]

 

 

蛋白質結晶などの試料を流体のキャリアに分散させ、 インジェクターからXFELの照射野に送り込み、試料の回折像をパルス毎に記録します。
光学レーザーを利用したポンプ・プローブ実験にも対応可能です[2]。
試料の性質に応じてインジェクターを選択することができ、液体ジェットインジェクター、高粘度キャリア用インジェクター[3]、液滴型インジェクター[4]を利用することができます。
また、これらの標準品以外のインジェクターをユーザーが持ち込んで、 本機に接続しながら実験を行うことも可能です。その場合、DAHPNIS標準のホルダーで保持できるように作成をお願いいたします。
嫌気条件が必要な試料には、クローズドタイプのDAPHNISが利用できます。
どちらもMPCCD検出器もしくはRayonix検出器(MX-300HS)と組合わせて測定システムを構成します。

 

 

※SFX実験システムは、X線自由電子レーザー 重点戦略研究課題 、科研費・新学術領域「高速分子動画」SACLA基盤開発プログラムの支援を受け、京都大学を中心とするグループとの共同開発により整備されました。

 

 

 

参考文献
[1] K. Tono et al., J. Synchrotron Rad. 22, 532 (2015).
[2] M. Kubo et al., J. Synchrotron Rad. 24, 1086 (2017).
[3] Y. Shimazu et al., J. Appl. Cryst. 52, 1280 (2019).

[4] F. Mafuné et al., Acta Cryst. D72, 520 (2016).

 

 

 

図面

 

 

オープンタイプ 12
クローズドタイプ 12
標準インジェクター
インジェクター取り付け部

 

 

 

検出器

 

 

DAPHNISを使用したSFX実験では、Octal-MPCCDまたはRayonix(MX-300HS)を検出器として用いることができます。Octal-MPCCDを用いた場合、試料-検出器間の標準的な距離は約50 mmです。
また、試料位置から約18 mm下流にX線ビームストップが設置されています。ビームストップはΦ1.5 mm, Φ2 mm, Φ3 mmの3種類から選ぶことが可能です。

 

http://sp8testbench00.harima.riken.jp:8000/beamlines-technologies/detector/mpccd/

 

Rayonix

 

 

 

ソフトウェア

 

 

 

多くの場合、実験で取得したデータは、SACLA HPC (High Performance Computing)システムを用いて解析します。詳細はSACLA HPC Portal site (HPCアカウントによるVPN接続が必要です)をご参照ください。
回折像のリアルタイムデータ処理ソフトとして、Cheetah[5]やCrystFEL[6]がSACLAでも使用可能です[7]。

 

 

参考文献
[5] A. Barty et al., J. Appl. Cryst. 47, 1118 (2014).
[6] T. White et al., J. Appl. Cryst. 49, 680, (2016).
[7] T. Nakane et al., J. Appl. Cryst. 49, 1035 (2016).

 

 

 

励起レーザーについて

 

 

 

励起光源として、波長可変ナノ秒レーザーもしくは波長可変フェムト秒レーザーが使用できます。利用可能な波長範囲、パルス時間幅、パルスエネルギーについては、下記「運転パラメータ」の中の「光学特性」をご参照ください。ナノ秒レーザーはEH3(BL2)、フェムト秒レーザーはEH2(BL3)での実験となります。
励起レーザーの集光は、光ファイバー+対物レンズによる2方向励起(オープンタイプのみ)、もしくは平凸レンズによる1方向励起(オープンタイプ、クローズドタイプ)となっております。
励起レーザーの空間プロファイルはガウシアンプロファイルです。

 

 

 

 2020 05 01 152856
  集光径
(半値全幅)
最大パルスエネルギー
Φ100 μmファイバー ~40 μm ~8 μJ/pulse*
Φ200 μmファイバー ~90 μm ~10 μJ/pulse*
Φ400 μmファイバー ~240 μm ~25 μJ/pulse*
平凸レンズ(f~200 mm) ~150-200 μm 各波長最大エネルギー**
  • * 光ファイバーのダメージ損傷による制限
    ** 光学レーザー特性参照

 

 

XFELパラメータ

 

 

 

光子エネルギー(基本波) 4-20 keV
パルスエネルギー 光子エネルギーに(下図参照)
エネルギー幅(ΔE/E) ~0.5%(ニ結晶分光器なし)
繰り返しレート 30 Hz(BL2&3同時運転時)

 

 

 

参考文献:
M. Yabashi et al., J. Synchrotron Rad. 22, 477 (2015).
K. Tono et al., J. Synchrotron Rad. 26, 595 (2019).

 

 

 

(参考)光子エネルギーとパルスエネルギー・光子数の関係(BL3の場合)

 

BL3 PulseEnergy Curve


 

 

 

X線集光特性

 

 

 

Optical parameters (KB mirrors) Vertical Horizontal
Surface coating Rhodium Rhodium
Substrate size 600 × 50 × 50 mm 600 × 50 × 50 mm
Glancing angle (2 mrad/4 mrad)* 2.1/3.8 mrad 2.0/3.7 mrad
Focal length 1.95 m 1.30 m
Distance from source 140.00 m 140.65 m
Spatial acceptance (2 mrad/4 mrad)* >1.2/>2.2 mm >1.1/>2.1 mm
Divergent angle (2 mrad/4 mrad)* ~0.65/~1.2 mrad ~1.0/~1.7 mrad
Typical focal size @ 10 keV ~1 µm FWHM ~1 µm FWHM

 

 

 

*高エネルギー領域では2 mrad系、低エネルギー領域では4 mrad系を利用する。

 

 

 

光学レーザー特性

 

 

 

  グリーンレーザー
Minilite, Continuum
光パラメトリック発振器*
NT232, Ekspla
Wavelength 532 nm 532 nm
Max. Pulse Energy ~20 µJ 波長に依存(下図参照)
Pulse Duration 3-5 ns 2-5 ns
Rep. Rate 10 Hz 30 Hz

 

 

 

*光パラメトリック発振器(OPO: Optical Parametric Oscillator)のパルスエネルギーは波長に依存します。

 
 
 
image 2

 

 

 

 

製品については、メーカーへのリンクを貼り付けます

 

 

 

※フェムト秒レーザーを利用する場合は、EH2@BL3で実施可能です。

 

 

ビームタイム前までにSACLAのスタッフが行うこと

 

 

以下の作業はビームタイム前にSACLAのスタッフが行います。

  • ・装置を実験ハッチに搬入。
  • ・XFELのスペクトル測定、光軸調整。
  • ・XFEL集光光学系の調整。

 

 

同期レーザーを使用するポンプ・プローブ型実験の場合は、以下の作業も SACLAのスタッフが行います。

  • ・同期レーザースペクトル、光軸、集光の調整。
  • ・XFELと同期レーザーの位置合わせ。
  • ・高速PDを使ったXFELと同期レーザーのタイミング調整。
  • ・フェムト秒レーザー使用の場合は、続いてフェムト秒精度でのタイミング調整も行います。

 

 

 

ビームタイム開始後にユーザー自身が行う主な操作

 

 

 

SFX実験を行うために、ユーザー自身に行っていただく実験操作を以下に示します。

  • ・試料調整、試料ホルダーへの装填。
  • ・試料交換とそれに伴うインジェクターの取り付け、位置調整。
  • ・試料吐出の最適化
  • ・標準試料を用いた計測。
  • ・インジェクターおよび吸引機のクリーニング。
  • ・測定および解析

 

 

 

各種準備室について

 

 

 

来所後に試料を作製される方は以下の準備室を使用可能です。調整に必要な薬品類はご持参ください。また実験廃液や化学薬品の付着した廃棄物などはお持ち帰りいただき、各所属機関で廃棄していたきますよう、ご協力をお願いいたします。

 

 

 

ガス、揮発性強酸などドラフトが必要な試料調整には、SACLAの測定準備室はご利用いただけません。SPring-8サイト内の化学試料準備室をご使用ください。化学試料準備室をご利用の際には、来所10日前までの申し込みが必要です。また、化学試料準備室および生物試料準備室は、SPring-8ユーザーも利用する共同実験室です。利用方法は各準備室のホームページをご参照ください。

 

 

 


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